エコノミークラス症候群といえば、"飛行機"を思い浮かべる人が多いかと思いますが、実は地震などの災害時の避難生活を送っている時に発症することも多く確認されています。
実際、2016年4月14日に発生した「熊本地震」では263人もの死者が出ましたが、エコノミークラス症候群を含む「震災関連死」はその5分の4にあたる208人にのぼると言われています。
また、東日本大震災の時にも以下のようなことが分かっています。
脚にできる血栓(血の固まり)を検査するエコーで1000人を超える被災者をスクリーニングしたところ、約10%に血栓ができていた、つまりエコノミークラス症候群を発症する可能性があったといいます。
出典:weathernews
本記事では、そんな死に至る可能性もある「エコノミークラス症候群」について解説していきます。
「エコノミークラス症候群」とは?
食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。
出典:厚生労働省
「旅行者血栓症」とも言われています。
最初は海外旅行などで長時間同じ姿勢でいる状況で発症しやすいものでしたが、飛行機の他にも列車旅行など、長時間座席に座って移動する時や、オフィスでのデスクワーク、長時間の会議、劇場・映画館などでも発症すると考えられます。
「エコノミークラス症候群」になりやすい人
「旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)」の原因として、航空機内などの乾燥した空間の条件や、低い気圧によって体内の水分が蒸散しやすくなり、血液の粘度が上昇してしまう条件が考えられます。水分の摂取不足や、アルコール等利尿作用のある飲料の摂取なども脱水傾向を招き、血液粘度を上昇させるリスクとなります。
このような状態で長時間座位により下肢が圧迫され続けると、血流が悪くなりうっ血を起こし、血栓が生じてしまいます。これを「深部静脈血栓症」と言います。生じた血栓は、立ち上がった際などに血液の流れに乗って肺の静脈に詰まり、呼吸困難や動悸を引き起こします。これが「肺塞栓症」です。このようにして「旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)」が発症します。
静脈血栓の形成には、静脈の内皮障害(血管が傷ついた状態)、血液の凝固亢進(血液が固まりやすい状態)、静脈の血流停滞(血液の流れが良くない状態)の3つの要因があります。
また、下記表に示している危険因子をお持ちの方は注意が必要です。出典:大塚製薬
【 静脈血栓塞栓症の付加的な危険因子の強度 】
危険因子の強度 | 危険因子 |
---|---|
弱い |
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中程度 |
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強い |
|
- 血栓性素因:先天性素因としてアンチトロンビン欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症など、後天性素因として、抗リン脂質抗体症候群など。
出典:大塚製薬
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「エコノミークラス症候群」の予防策
「エコノミークラス症候群」の予防策は主に以下の6つです。
- ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う
- 十分にこまめに水分を取る
- アルコールを控える。できれば禁煙する
- ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
- かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする
- 眠るときは足をあげる
参考:厚生労働省
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